ヘナの実験開始
なぜ、今(2024年)にヘナ導入を検討し始めたのか
これまで「明るい白髪染め」を中心にヘアカラーを提供してきましたが、御客様の年齢が上がるにつれて、次のような変化が顕著になってきました。
- 白髪率の増加:顧客の年齢が上がるにつれ、白髪が増加し、これに対応したメニューのニーズが高まっています。
- 髪のハリ・コシ・弾力や強度の低下:年齢とともに髪質が変化し、ボリュームが出にくくなる現象が増えてきています。
- アルカリカラーの継続使用による影響:従来のアルカリカラーを続けることで、髪への負担が増加し、これらのデメリットがさらに進行する懸念があります。
艶や柔らかさはトリートメントや縮毛矯正である程度カバーできますが、髪の強度やハリ・コシを補うことは難しいのが現状です。そのため、これらの問題を解消するための新しいアプローチとして、ヘナの導入を検討し始めました。
ヘナの導入に対する懸念点
一方で、ヘナには以下のようなデメリットがあるため、これまで採用をためらっていました。
- 染色の限界:ヘナ単体では髪色がオレンジ、もしくはインディゴを混ぜた淡いブラウンにしかならないため、色のバリエーションが限られている。
- 色の変化がわかりにくい:顧客が求めるはっきりした色の変化が感じにくいケースがある。
- カラーチェンジの妨げ:ヘナの成分が髪に残りやすく、後のカラーチェンジが難しくなる。
- パーマがかかりにくくなる可能性:ヘナを繰り返し使用すると、パーマがかかりにくくなるという報告もあります。
- 草木かぶれのリスク:植物由来のヘナであるため、稀に「草木かぶれ」などのアレルギー反応が出る場合があります。
実証実験の経緯
これらの懸念を払拭するために、ヘナに関する勉強と実証実験を開始しました。実際に使用してみると、いくつかの新しい発見がありました。
- 様々な色表現が可能に:調合や技術の工夫により、ヘナでも幅広い色表現ができることが分かってきました。
- メニューの多様性が広がる:調合の工夫で、既存の施術メニューや「明るい白髪染め(ハイライトを用いたカラー)」と組み合わせられる可能性があることが確認されました。
- 髪への負担軽減:化学薬品を使用するカラーに比べて、ヘナは髪に対する負担を軽減できる可能性が高いことがわかりました。
- 自然な「グレイヘア」移行のサポート:ヘナは髪にダメージを与えにくく、自然に白髪と共存しつつ、美しい髪を保つ「グレイヘア」への移行をサポートできると考えられます。
ヘナを導入する上での課題
ただし、「自然(オーガニック)」を前面に打ち出しすぎると、これまでarchが提案してきたコンセプトやテーマとの整合性が問題になります。あくまでヘナは「自然派」としてではなく、髪や頭皮への負担を軽減する一つの選択肢として位置づけたいと考えています。
また、化学染料(HC染料)を含むヘナについても検討しています。これには賛否両論ありますが、次のような利点が見えてきました。
- 鮮やかな色の表現が可能:化学染料を含むことで、従来のヘナよりも鮮やかな色を表現することが可能です。
- しっかりとした白髪染めが可能:白髪に対しても確実に色が入るため、顧客の満足度が高まる可能性があります。
- ジアミン染料やアルカリ剤よりは負担が少ない:ヘナにはジアミン染料やアルカリ剤を含む従来のカラーに比べて、髪や頭皮への負担が少ないと考えられます。
今後の展望
これらの実験を続けていき、引き続き懸念点をクリアにしながら、最終的にお客様に安心してご案内できるよう準備を進めていきます。